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NTM053完成記念小説 [小説]

序章

過去の夢を見ていた。政府の圧制と差別から、集落の同胞を開放した時の夢だ。今、高橋良輔の名前を、どれほどの人間が記憶しているのだろうか…あの時の熱病のような気持ちと行動は自分に何を残したのだろう。気が付けば職らしきものも無く追われる事から逃れる日々。もう若くも無く、自分に問う言葉は今の自分への疑問ばかりだった。誘いがあるのは反ユダヤ系のテロ組織かアフリカでの傭兵の誘い位である。まだ自分が身を置く反政府組織で客分扱いをされているほうがマシであった。浅い眠りから覚醒したのは自分の名を呼ぶ青年の声。
「良輔さん」
あの内乱の後、セントーサ島で出会った男…城 達也 過去の自分を認め肯定してくれる数少ない人物だ。この組織へと紹介してくれたのも達也であった。
「旧市街で仲間が掘り出し物の武器を見つけたそうなんですが、警察もその方向に向かっているそうで、援護が欲しいそうです」
重い腰を上げ無言でハンガーへと向かう。待っていたのは特徴的な球状の頭部を持つロボット…NTM053-タイプノーマル 愛称はNTMともノーマルタマーノとも云う。二足歩行型兵器としては旧型の部類だが安定した性能と扱いの易しさから軍用に於いても現役である。彼らが使っているのは廃棄されたパーツと仕様書から作り上げたパチ物だが尤も優秀なメカニックとエンジニアを抱えているらしく本物を扱った良輔ですらチューンドされた印象さえある逸品だ。トレーラーに寝かされた状態のNTMに乗り込むと初期起動の画面が表示された。


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